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ストーリー伊豆の自然を体験しよう

サバーソニック&アジロックフェスティバル 加藤さんに聞く伊豆魅力とそれを守る活動

伊豆の豊かな自然のなかで事業活動するみなさんに【アクティビティ】【文化】【自然】 の観点から、その魅力を伺いご紹介してまいります。

第6回のインタビューは伊豆市を飛び出し、伊豆半島全域で仕事に環境活動に奔走するサバーソニック&アジロックフェスティバルの漁労長加藤龍さんにお話をお伺いしました。

 

この記事の作者

  • 武智一雄

今回は私、武智も一緒に活動している仲間であり、こそばゆいインタビューでした。これまで紹介した方々と違い、伊豆の自然や魅力に惹かれて移住したわけでも、アクティビティを仕事にしているわけでもない、フツーのサラリーマン移住者でありながら、海の環境活動もされている加藤さん。これから移住を考えている方には視点が一番近いかもしれません。

 

Q:伊豆に、いや、伊豆の国市に引っ越してくるまでの流れと自己紹介からお話ししていただけますか。

 

伊豆に来て、もう11年目です。こっちへ来た理由は、奥さんの出身が伊豆の国市だったからです。それまでは東京近郊のマンションに住んでたんですが、のびのびと子育てしたいということで、奥さんの実家の近くに家を建てました。

仕事は沼津にある地域密着型のIT企業に勤めていて、ホームページやシステム開発の営業をしています。

 

Q:実際、住んだ感想は?

いいところですよね。海も山も近くて、観光気分も味わえて。

鉄道もあるし、まあ利便性もいい。生活するにもいい。

それと、武智さんとも一緒に食べ物をつくる人を取材し想いを届ける「伊豆食べる通信」というのをやっていますが、食べ物も美味しい。

取材をしていても感じるんですが、どこかに行くと色々と物をいただいたり、なんていうか人と人の交流が良いですよね。人間関係の温かみに感謝しています。

伊豆食べる通信の取材を通じ、農業や漁業の現場に行くことで、自然環境の変化が産業に与える影響を見聞きする機会が増えました。

Q:加藤さんの活動って伊豆半島全域をフィールドにしてるじゃないですか。移住者からの視点で伊豆の人ってどうですか?

 

僕は郷に入っては郷に従えってよりも「郷に入っては郷を楽しめ」っていうのをモットーにしていて。伊豆の会社とか、漁協とか生産者さんもそうですが、コミュニティがそんなに大きくないじゃないですか。だから、行った先で担当者さんだけじゃなくて、いろんな人に会えたりして、そこからまた新しいつながりも生まれたりして、今度はそこと別のところが繋がってたりして。

伊豆半島っていうエリア感が、いろいろな人間関係をカバーするのにもちょうど良い感じですよね。みんな優しいっていうか、親しくなれると、すごく仲良くしてくれますね。

 

Q:それはあるよね。加藤さん、移住者のくせに異常に人脈広くて深いもんなぁ。正直、受け入れ側の資質もあるけど、あなたの性格もあるわね。

ところで、加藤さんの肩書きの一つでもあるサバーソニック&アジロックフェスティバルの環境活動について話してくださいよ。

イベント時にサンバ隊と一緒に踊る加藤さん。地魚を盛り上げる趣旨でしたが、かなりフリーキーなもので、多くの方が熱狂!!

本題ですね。

伊豆の名産というかどこでも獲れるアジやサバを盛り上げるためということで、2017年に伊東で「サバーソニック&アジロックフェスティバル」として発足しました。

元々は、架空のイベントの予定が、実際に魚を使った料理を提供したり、アジのつかみ取り、音楽などからスタートして、徐々に、ストリートスポーツ、ビーチサッカー、サンバ、プロレス、それにストリップ嬢まで出てくるような、もうなんでもごちゃまぜにしたイベントになって、2019年には2万人が集まってくれました。イベントはとても盛り上がったんですが、終わったときに信じられないくらい大量のゴミが出て、あと、残念ながら出店者のなかに海に汚水を捨てる方がいたりもして。

僕らも海や魚のことをいろいろ取材したりしていて、魚が獲れないとか、環境の変化が激しいというは聞いていたんで、環境問題にも徐々に関心を持っていたんですが、そのイベントをきっかけに一気に海の環境活動をする団体にシフトさせました。

イベントで培った発信力や巻き込み力を活かし、静岡県内各地で環境イベントを実施。

そこで、まずは伊豆半島各地でビーチクリーンをしたり、クラウドファンディングでリサイクルマシンを作り、それを環境学習のコンテンツを作りました。各地の学校へ出前授業をしたり、修学旅行生も200人くらいを受け入れました。

あとは昨年から、『藻場要る』というウェブアプリで、海藻や海草が今どこに生えていて、どこにないのかというのを可視化する活動をしています。モバイルと藻場が要るをかけたダジャレのふざけたネーミングなんですが、藻場は地球温暖化や生物多様性にとって、すごく重要なんですよ。
だれでも簡単にスマホで写真を撮ればアップできるものなので、ぜひ登録&アップしてくださいね!

Q:イベントと言い、藻場要ると言い、素晴らしいネーミングセンスですね。さすが俺。いや、はずかし・・・

今年からやってる伊豆市土肥の小中一貫校での授業も紹介、お願いします。

 

土肥の海には県の準絶滅危惧種のコアマモという植物があるんです。コアマモは海藻ではなく、海草という分類で稚魚の隠れ家や産卵場所になっていたり、貝やゴカイなどの生き物の住処としても重要なんです。

とても貴重な植物なんですが、観光客からクレームがあったということから、ここ20年くらい、刈り取っているんですよね。

僕らが小学5年生向けに、そういった貴重な生き物があるよというのを話したら、子どもたちがいろいろ調べてくれて、大事さに気づいて守ろうとしてくれています。自分たちで、ポスターを作って旅館やコンビニに貼るとかのアイデアを提案してきたり。

土肥のサバソニ仲間も周りの方を巻き込んでくれて、伐採されるコアマモをダイバーの方が移植してくれたりしていて、すごく嬉しいです。

あと、伊東では放課後等デイサービスの子どもたちと毎月ビーチクリーンをしていて、もうすぐ3年目になりますね。

子どもたちと一緒に活動するのは楽しいですね!

土肥の海での活動のひとコマ。楽しみながら海を学び、これからも守っていこうという気持ちになってくれたら嬉しいです。

Q:俺たちは環境の専門家じゃないからこそ、おバカで楽しく、環境問題に興味がなかった人にもアプローチしていきたいよね。環境問題がリテラシー高い人の領域じゃなくて、楽しいからやってみたくなる的な。

 

そうですよね。

ビーチクリーンで拾ったおもちゃをシートイって呼んでるんですが、たくさん集まったので、伊東でシートイミュージアムとして展示して見てもらうこともしてます。

面白いとか、楽しいとか、ポジティブな気持ちから、じゃあ海に行ってゴミ拾いしてみようという行動変容に繋がったら、本当に嬉しいですね。

 

Q:海や自然を守る活動をしている加藤さんですが、伊豆半島の自然をどんな風に捉えてます?

 

海も山もあって、その距離が近い。でも、西海岸と東海岸でも雰囲気は違いますね。

うちのすぐ近くに狩野川が流れていて、国交相からの委嘱で狩野川愛護モニターという活動もしているんですが、ゴミ拾いをしながら、狩野川をモニタリングして毎月報告してますよ。

伊豆の豊かな自然環境が子どもたちや未来にも残ってくれてたら良いなって本気で思ってます。

 

休日はこどもたちと一緒に家の近くの狩野川を清掃活動。

Q:いろいろやってて、素晴らしいですね。移住者のクセに(笑)じゃあ、伊豆半島でおすすめの風景は?

 

狩野川の掃除を早朝にしていますが、朝の狩野川と富士山はきれいですよ。夕方とは違って、ピンクっぽいっていうか。あと西海岸の駿河湾越しの富士山もいいですね。

やっぱ、富士山いいなぁ。

他だと、わさび田も。あんな山奥に人が作った石垣があったりして、昔の人は手で作業して、それが今も活用されていて、本当にすごいなって感動しました。

 

Q:今後の展望みたいなのってあります?

人と人をつなぐってことを意識しているんで、サバソニでも食べる通信でも仕事でも、いろいろな人と知り合って、話を広げるお手伝いができたら良いなと思ってます。

サバソニは今は大きなイベントとかは考えていませんが、しっかりと地道に色々な人を巻き込みながら、面白くやっていきたいですね。もちろん、おバカに!

照れくさいですが、真面目に言うと、伊豆の自然が豊かに未来に残ってくれることを願ってます。

自然との共生はもちろん難しい部分もありますが、僕らができることを見つけて、今後も取り組んでいけたらと思ってます。

シートイを発見し、喜んでいるところ。一緒に活動したい方はいつでも歓迎です。ご連絡お待ちしております!!

加藤さんが関わる活動はこちら▼

伊豆食べる通信

サバーソニック&アジロックフェスティバル

 

加藤さんが紹介されている伊豆の国市移住動画▼

伊豆の国市移住動画

 

写真・文:武智一雄

伊豆市の隣の伊東市在住のフォトグラファーで海の環境保全を目的とする

一般社団法人サバーソニック&アジロックフェスティバルの提督(代表理事)。

伊豆市には親戚や友人も多く、幼少期から馴染みが深く、好きな場所でした。

また、修善寺を2拠点生活の拠点としていたので、伊豆の内側と外側の両方の視点からインタビューを目指しています。