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ストーリー伊豆のアクティビティを体験しよう

またね自然学校斉藤大輔さん・竹夏さんに聞く伊豆市の魅力 暮らしと自然のちょうどいい距離感

伊豆市の豊かな自然のなかで事業活動するみなさんに【アクティビティ】【文化】【自然】 の観点から、その魅力を伺いご紹介してまいります。

第三回のインタビューは、またね自然学校の斉藤ご夫妻にお話をお伺いしました。

この記事の作者

  • 武智一雄

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冒頭文では斉藤ご夫妻と、まあ堅苦しく書いてみましたが、だいちゃんとたんたんに話を聞いて来ました。ほかの事業者さんは2時間程のインタビューですが、話がはずんで時間オーバー。二度目のインタビューもしてきました。

というのが、まさにmata-ne。

ふたりが伊豆の地自然に惹かれ、移住を決意し、自然学校を設立するまでの経緯をたっぷりと聞いて来ました。

 

 

Q:まずはお決まりですが、どうして伊豆に来たのかを教えていただけますか?

 

たんたん:伊豆の自然は過去の歴史や昔の文化だけでなく、現在の生活にも密着していて、

わたしたちが自然学校での軸としているインタープリテーションを

体現しやすい場所ということは間違いない理由ですね。

 

だいちゃん:暮らしと自然が近いのはすごく良いですね。

例えば、シカやイノシシの狩猟体験で『いただきます』の意味を改めて考えることもできたり、

農業や自然の植物から、季節の移り変わりを単に知識としてではなく、

インタープリテーションすることで、子どもや大人も五感を使って感じてもらえる環境だと思います。

 

 

Q:そうですね。

ネット情報はたくさんあるけど、五感を使った体験を交えながら身体で感じて身に付くことってありますよね。

 

だいちゃん:うちのプログラムに『こどもキャンプ』があるんですが、

刃物や火の使い方を身につけていくんですが、

そういった体験がこの自然のなかでは普通にあるというか、

無理してプログラムに組み込んだわけではなく、ニワトリを捌くことも、

伊豆ではまだ生活の一部としてありますからね。

そういうことをちゃんと仕事にしている人がいる。

僕らなんかはやっぱりまだまだなんで、地元のそういう先輩から今も学ばせてもらっていますよ。

 

 

Q:伊豆には農業はもちろん、海の漁師も山の猟師もちゃんといますもんね。

ところで、伊豆にたどり着くまでの経緯を教えてもらえますか?

 

だいちゃん:長いですよ。時間足りるかなぁ。

元ラガーマンのだいちゃん。『だいちゃんさん』と呼ぶと、『だいちゃんで!』と言われます

たんたん:じゃあ、私が説明しますね!

だいちゃんが東京で仕事をしていて、大きなお金を動かすような仕事をしていたんですが、

だんだんとだいちゃんが疲弊していく様子を目の当たりにして、すごい大きな仕事ことをしているけど、

これってしあわせなのかなぁと思うようになってきたんです。

娘の子育てが終わったあとに、ふたりでどういう人生を歩むのかにイメージが持てなかったんです。

で、何かもっと彼に合う仕事があるんじゃないかなと考えて、私が彼に合う仕事を探し始めました』

 

 

Q:え?勝手に旦那さんの仕事を探し始めるんですか?ていうか、仕事自体は順風満帆だったんですよね?

 

だいちゃん:負けず嫌いだし、一生懸命仕事して、憧れの部署で仕事をしていました。

たんたん:サラリーマンラブでしたね。

笑顔で、目を輝かせて語ってくれるのは『たんたん』

Q:うんうん。なんとなくわかりますよ。風貌とか目を見れば。でも、何かが違うんじゃないかと思ったわけですね、たんたん的には。

 

たんたん:そうなんですよ。

仕事に明け暮れる毎日で、だいちゃんらしさや彼のいいところがなくなってしまうんじゃないかという気がしてきたんです。

何のために働いているのかな。しあわせになるためじゃないのかなって』

 

 

Q:うーん。だいちゃんらしさかぁ。

それって、いつから二人が知り合ってとかに関係すると思うんですけど、例えば、職場結婚なら、バリバリ仕事する姿がだいちゃんかもだし。

さかのぼると出会いはいつなんですか?

 

だいちゃん:小学校の塾の友達と親友になって、そのお姉ちゃんです。

 

 

Q:マジっすか!?小学校!!すごい!!で、そこから結婚までは?

 

だいちゃん:19歳のとき、ふと漠然とですが、結婚について考えたんです。

どんな相手が良いのかなぁと思ったら、たんたんの顔が浮かんだんです。そしたらもう、たんたんしかいないと。

 

たんたん:今はゆるキャラみたいになってますけど、その頃、私、結構モテたんですよ。

 

だいちゃん:誰かに取られるくらいならと思って、結婚をお願いしました。

 

若い頃の二人。美男美女ですね!この頃は伊豆に行くなんて全く想像していなかったそう

 

Q:うわー!!良い!!俺、恋愛トークが大好物なんで、そこらへんの話、めっちゃ興味あるんすけど。

それは別の機会にインタビューさせていただくとして、転職のところからもう一度、お願いします。(そのあたりの話を聞きたい方はmata-neまで行ってください)

 

たんたん:だいちゃんに合いそうな仕事を3つ選んで、一年くらいリサーチしていました。

だいちゃんが好きな車関連、農業を軸とした活動をしている法人、それと最終的にお世話になったホールアース自然学校。

それぞれの代表とも勝手にコンタクトを取ったりして。

一応、ちゃんと旦那の状況を話したり、もしかしたら、お世話になるかもしれないということでお話させていただいていました。

 

だいちゃん:本当は一度は(ホールアース自然学校を)断ろうとしたんですよ。

で、朝、会社に出勤して、お断りの電話をしようとしていたのですが、直前に当時中三だった娘から電話があり、

『お父さんに合ってるよ』と言われ、ホールアースで働くことを決めました。

 

たんたん:でも、それって12月の話で、娘はその時に住んでいたところで高校の推薦が決まっていたんです。

ホールアースは1月から来て欲しいと言われたので、進学を一旦やめて、最後の三学期だけ、ホールアース自然学校のある富士宮の中学校に通うという選択をすることになったんです。

 

だいちゃん:娘の決意と、急に前の友達と離れることや、知らない環境で最後の中学生活を送る決断をしてくれたことって、

俺たちの子育てって間違ってなかったなと思いましたね。

 

ホールアース時代のお二人。自分たちの理想の場所探しをしていたころ

Q:娘さんもすごいなぁ。自立しているっていうか、自分を持っていなければ、そうは選択できない気がしますね

で、そこから、夫婦でホールアース自然学校で働いて、独立するぜって感じで伊豆へって流れですか?

 

たんたん:まずは私が先に伊豆に来たんです。地域おこし協力隊として鹿皮の加工をしていました。

伊豆には子どもの頃から家族旅行で来たりしていましたし、結婚してからも西伊豆でカヤックで遊んだり。

馴染みはありましたし、夫婦の移住候補としても伊豆がいいなとは思っていました。

いいタイミングで地域おこし協力隊の仕事があったのはご縁ですね。

 

だいちゃん:会社員時代から、いろんな行政の方と関わって来ましたが、伊豆市の行政の方の印象も良かったですよ。

伐採作業を手伝う伊豆市の菊地市長。まさに官民一体です

Q:(伊豆市の担当者に)印象、良かったってよ!でも、ぶっちゃけ、伊豆市じゃなきゃいけない理由って、あんまりないじゃないですか?

他に移住の候補地とかなかったんですか?

 

たんたん:房総の方もいいなぁとは思っていましたよ。海もあって、山もあって。

だいちゃん:ひとつ大きな理由は富士山にも行けるからっていうのはありますね。

伊豆市だと、山、海、富士山もフィールドとして活動できるんで。

それと、ここ(現在のmata-ne村)を見つけられたのはとても大きなご縁でした。

 

たんたん:伊豆市に来て、最初の拠点(mata-neハウス)は今も伊豆市梅木にあるんですが、

仕事探しの時と同じようにまた、いろいろとリサーチしたんです。

Googleアースとか使って。

そしたら、山の中に一軒家を見つけて『ここ良い!!』となり、半年かけて所有者の方を探して、

ここで実現したい夢を聞いていただいたんです。そうしたら、

その方もそういうことなら、あなたたちに使って欲しいと、とてもありがたいお答えをいただけたんです。

 

Q:なるほど〜。人との出会いって大事ですもんね。伊豆の自然に関してはふたりはどんな魅力を感じてますか?

たんたん:伊豆に来て、驚いたのは四季がすごいことです。

 

Q:四季がすごい?どういうこと?もう少しくわしく。

たんたん:季節で変化する山の景色に感動しています。

初夏の緑、秋の紅葉、冬は雪も降って、山が衣替えするように色が変わるんです。

 

Q:あー!!確かに!!

伊豆半島の中でも、伊豆市はいろいろな樹木も多いし、紅葉スポットもあるし、雪も降りますもんね。逆に嫌なところってありますか?

だいちゃん:・・・・・・ないなぁ。

たんたん:うーん、ないねぇ。

だいちゃん:都会よりは自然との距離感は近いけど、それは全然嫌なことではいし、楽しんでるよね。

 

Q:でもまあ、ほら、田舎ならではの人間関係の濃さっていうか、奉仕活動的なのもあるじゃないすか?そういうのはどうなんすか?

だいちゃん:むしろ、ありがたいですよ。そういうのがあってくれて。

近所の人と触れ合えるし。以前、ここで盆踊りをやったんですよ。

地域の人とも協力して、やぐらを組んだり、太鼓を叩いてもらったり、そういう交流ができるのもすごい魅力的な地域ですね。

私たちのお客さんも首都圏の方が多いので、アクセスが大変じゃなく、

来たい時に来れる距離感もあり、ここの地域の人とも交流できたり。

 

たんたん:この場所に出会えたことは本当に幸せですね。

かなりの山道を登った先にある元ペンション。これから『みんなのいえ』に生まれ変わります

Q:これまたご縁ですね。でも、ご縁の系を引き寄せてるっていうか、むしろ糸を作って、相手のところまで行って糸を結んで、それをたぐり寄せている感じですね。

この場所で実現したいことって何なんですか?

だいちゃん:ちょっと待ってね。(と言って、クラウドファンディングチラシを取って来てくれる)これを見てもらえれば、わかりますよ!

目標金額を超えて、大成功に終わったクラウドファンディング

Q:なるほど、なるほど。

言い回しが難しいんだけど、自然学校ではあるけれど、自然学校っぽすぎないっていうか、

お二人の話を聞いていて感じたのは、これ、悪い意味ではなくて、自然が好き過ぎないっていうか、そっちに偏ってない感じっていうのかなぁ。

人が好きなんだろうなって。

 

だいちゃん:横浜の大倉山で育ったんですが、当時はまだ畑や田んぼもたくさんあって、外で遊ぶのが大好きでしたよ。でも、おっしゃってること、わかります。

さっきお話しした会社員時代に転勤で富山県に赴任したんです。

富士宮に来る前に。そこで、田植えの手伝いや、狩猟免許も取って猟をしたり、だんだんと今の道に通じる感じになってきてましたね。

 

たんたん:だいちゃんは娘が小さい頃に娘の友達を集めて、一緒にキャンプしたり、みんなで富士登山をしたり、

やっぱり、アウトドアっていうか、自然は大好きですし、もちろん人も大好きですね。

今、うちにいるスタッフも数名は娘の同級生という繋がりだったんですよ。

 

だいちゃん:またね自然学校を通じて、家族の絆だったり、新しい友達や仲間ができたり、

ここでいろんな形でイベントもやっているので、地域の方と県外の方がつながったり。そういう場所にしていきたいですね。

 

にわとりのお世話もスタッフの大事な仕事。ゲストの方もお世話は必須ですよ

Q:ストレートにお聞きしますが、当初、二人が考えていたしあわせに近づいていると思いますか?

だいちゃん:当然まだまだやりたいことの道半ばではありますが、充実した日々を過ごしていますよ。

 

たんたん:だいちゃんが仕事で忙しかった時期もあったり、私が先にこっち(伊豆市)に来たり、

ぱっと見、離れているようなときもあったけど、友達のアーティストに言われた

『土の上に出ている部分は離れて見えるけど、ふたりは根っこで繋がっている』というフレーズがなんかすごくしっくり来るんですよね。』

 

だいちゃん:そう言えば、僕たちの活動の名前を決める時にいろいろアイデアを出し合ったんですが、

そんななかで『お互い最期のときになんて言うかな?』ってなったら、ふたりとも『またね』だったんです。

この場所もいろいろな人が『またね』と言って、出会える場所になっていったらと思ってます。

 

 

 

お話を伺った斉藤夫妻さんのプロフィール

だいちゃん。

本名は斉藤大輔。会社員を経て、2013年ホールアース自然学校へ入社。インタープリテーションを生かした子どもキャンプ・教育旅行・地域学習・エコツアーなどの環境教育や、企業研修・地域創生事業などを実施している。

 

たんたん。

本名は斉藤竹夏。兄弟全員の名前に竹冠が入っている。デザイン工学を専攻し、伊豆市には有害駆除された鹿皮を利用したクラフトアーティストとして移住開始。

 

とても書ききれないので、くわしくはこちらをご覧ください

https://www.mata-ne.net/about

 


 

編集後記

お二人に会う前のイメージでは自然が好きな方が自然学校をやっているんだろうなという先入観を持ってしまっていました。

もちろん、二人とも自然が大好きなんだけど、同じくらい人が好きというか、人と自然が好きで、そういう意味では伊豆がぴったりだなという印象に変わりました。

もう少し説明を加えると、伊豆には手付かずの大自然があるわけではなく、里山だったり、山でも猟や山菜取りをしたりと、ある程度、人が介入しながら自然が維持されていて。

そこをフィールドとしてフル活用して、だいちゃんとたんたんらしいやり方で、未来の人材を育てているんだなと感じました。

 

写真・文:武智一雄

 

伊豆市の隣の伊東市在住のフォトグラファーで海の環境保全を目的とする

一般社団法人サバーソニック&アジロックフェスティバルの提督(代表理事)。

伊豆市には親戚や友人も多く、幼少期から馴染みが深く、好きな場所でした。

また、修善寺を2拠点生活の拠点としていたので、伊豆の内側と外側の両方の視点からインタビューを目指しています。

 

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